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ロープや「定休日」という立札が見えるが、おそらく幻だろう。

2021年06月05日
どうも、カール・グスタフ・ユングです。
意義のあるささいなことは、意義のない偉大なことよりも、人生にとってずっと大切だ。

職場の旅行で別府へ。
2日目の昼食は湯布院で、というコースだった。

そこで出会った天国のレストラン。

無名店のためポリシーに反するから・・・
教えたくない素晴らしい店なので、あえて店名は隠しておく。
どうせ来年には潰れているだろうから・・・

【画像】

Theおおいた豊後牛や豊後赤鶏の絶品炭火焼が食べられる天国のレストラン。

もう入口からして、巷間に溢れる二流店とはオーラが違う。

営業中と大書してあるが、入口はロープで封鎖していたからね。
大手旅行代理店通しだから、だいぶ前から予約していただろうけどね。

【画像】 

一期一会。
我ら一行を歓迎する気持ちに満ち溢れた門構え。

倒産した店にしか見えない・・・
我々の貸切、他客を寄せ付けないという気配りに満ち満ちている。

ロープや「定休日」という立札が見えるが、おそらく幻だろう。

【画像】 

階段を上がり、手入れをした形跡がまったくない庭を抜け店内へ。

田舎の家に帰って来たみたいだ~。
なんて感傷に浸ることはない。

ただただ、雑然として、それでいて掃除がされていない空間。
納屋・物置に詰め込まれたのと同じ。

【画像】 

床、テーブルは当然のごとく油等でベタベタ。

掘り炬燵のようになっているが、下のカーペットの変色なんて当たり前。
足の裏に様々な異物の感触がある、なんてファンタジー。
そういえば、海老が落ちてた、なんて騒いでいたテーブルもあったなあ・・・。

この店の辞書に掃除、という文字はない。

【画像】 

炭がセットされているのに、食材がまったく用意されてなかったのはご愛嬌。

店主不在で、臨時アルバイトみたいなオッサンの対応だったらしいが、
彼の辞書に「いらっしゃいませ」などの接客用語は一切載っていない。

もはや、どうでもよくなってきたが、コンロにも頑固な灰が蓄積されてますなあ。

【画像】 

何にも用意されてないと思ったら、突き出しだけ用意されていた。

これまで、食欲をそそらない、適当な突き出しに遭遇した経験はあるが、
箸を付けると危ないのではないか、と身の危険を感じた突き出しは初めてだ。

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この海老なんて、どうやったら、こういうことになるのだろう。

他を含めて、もちろん完全スルー。

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取皿、小皿の類が色々置かれているのに、箸置きはない。

その中で、箸をおしぼりの上に置いておくセンスに脱帽。
私はたとえ泥酔していても、こんなことできないわ。

グラスなんて不粋なものはないから、乾杯は透明プラスチックカップ。

それも使い捨てでは決してない、という環境配慮が素晴らしい。
だって、透明なはずなのに洗った形跡があり、白く濁ってたからね~。

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さて、豪華炭火焼。

安物のアルミ皿。
ユネスコ無形文化遺産「和食」の技を活かした、美しい盛り付け。

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A4かA5とかアピールしていた、Theおおいた豊後牛とやら。

もう病的なまでに脂ばっかり。
焼いて、牛肉の旨味なんて、欠片も感じることはできなかった。

品のない脂にまみれた、ふにゃふにゃの牛肉に似た食感の物体。
冷静に評価して、ちっとも美味くない。

【画像】 

豊後赤鶏は皮に弾力があり、地鶏らしさを味わえるかと思ったら、
驚くまでに身はブヨブヨ。

皮・身とも旨味は極限までに乏しい。
スーパーでごく普通のブロイラー買って焼いたほうが美味いと思う。

そして、スプリンクラーが起動しそうなぐらい煙っていても、
換気扇を回さないオッサン店員。

何回か催促すると、ようやく巨大換気扇を動かした。
すると、風向きが変わって煙は私の方向へ集中。

あやうく、私が燻製になることだ・・・。
周りで「目が痛い」という叫び声も聞こえる・・・。
 
【画像】 

野菜や魚介類に手をつける気がなぜか微塵も起こらない。
それどころか、肉や鶏ももう要らない、と身体が訴える。

撮っていないが、ご飯の出来栄えも感動ものだった。
惜しいことにほんの一口で箸を置いてしまった。

固い、柔らかいが混在した妙な食感。
そして、過去に経験したことのない臭さ。
米って、こんなに臭くなるのね、と良い勉強になった。

ユネスコの人間をこの店に入れたら、無形文化遺産登録は抹消確実。

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たぶん、誰も食べていなかったはずの牡蠣。

そりゃね、「殺傷能力高いですよ」と見た目から訴えているもの。
あまりにも怖くて、臭いをかぐ気にもなれなかった。

こんな牡蠣喰ったら、確実に胃腸が破壊されてるわ・・・。

【画像】 

天国のレストランは、最後の椀物にも抜かりがない。

豆腐の見た目とか具材がどうとか、もうどうでもいい。

ゴボウが「完全皮付」という大胆さ。
何事も経験、と思って少しだけ飲んでみたが、衝撃が走ったよ。

出汁は、泥。
こんなに泥風味に満ちた吸い物は飲んだことないし、これからもないだろう。

ほんとに砂入ってたしね。

奇跡の店。
21世紀の日本に、こんな店が現存しているなんて、奇跡以外に言葉が見つからない。

たしか、陸上自衛隊湯布院駐屯地が近くにあったはず。
西部方面特科隊の実弾演習の標的にして、跡形もなく破壊して欲しい。

ある意味、思い出にはなったけどね、この店。
クソ過ぎて、旅の一番の思い出になったけどよ。
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