危なさそう VS 危なそう
2009年08月23日
以前から疑問に思っていたのですが、
例えば
「あの人、料理しなさそう。」
と
「あの人、料理しなそう。」
では
どちらが文法的に正しい表現なのでしょうか?
この例では前者の方が正しいような「感じ」が個人的にするのですが、
「危なさそう」
と
「危なそう」
では後者の方が正しいような「感じ」がします。
これら「なそう」・「なさそう」の文法的な解説をしていただけないでしょうか?
回答
私は日本語日本文学科に所属しています。
そういった勉強を集中的にしている者として、少し専門的に分析してみましたので、意味がわからなければ遠慮なくご質問ください。
広辞苑には
「形容詞および助動詞『ない』の語幹に接続(形容詞の語幹が1音節の場合は、「さ」に介して接続)」とあります。
さて、「料理…」の文は「料理+する+ない+そう」という仕組みになっていますよね。
「ない」は「なくなった」「なければ」とつかうことができます。
ここで「ない」はどういう形で使われても「な」という一語は動かないということに気づかれたでしょうか。
この動かない「な」が語幹です。
「な」は助動詞であり、そのまま「そう」をつけるのが原則です。
以上から考えると、「料理しなそう」の方が文法的に見れば正解といえるでしょう。
次に「危なそう」です。
これは「危ない+そう」となっています。
「危ない」は「危なかった」「危なく失敗するところだった」というように使えます。
つまり、「危な」までが語幹です。
ですので、「危なそう」となります。
いろいろ言いましたが、言語は動く生ものです。
時代と共に言葉は変化します。
特に発音の世界では、文法上の分類は違ってもその実質的な意味や、発音が同じだとごっちゃになって使われる場合もあります。
一番目の場合がそのよい例です。
「ない」は助動詞、形容詞どちらの用法もあります。
「ない」の語幹は「な」の一語。
ですので「形容詞の語幹が1音節の場合は、『さ』に介して接続」が当てはまります。
そこで「料理しなさそう」という言われ方もするようになったのでしょう。
個人的な意見ですが、正しく意味が通じればそれがすなわち正しい言葉といえると思います。
そうだ(助動詞)
…動詞および助動詞の「れる」「られる」「せる」「させる」にはその連
用形に付き、形容詞、形容動詞、および助動詞「ない」「たい」にはその
語幹に付く。ただし、形容詞のうち、語幹が一字の「ない」「よい」に
は、「なさそうだ」「よさそうだ」のように、その語幹と「そうだ」との
間に「さ」が入る。『大辞林』より抜粋
従って、
正:料理しなさそう
誤:料理しなそう
理由:語幹が一字の形容詞「ない」だから
正:危なそう
誤:危なさそう
理由:語幹が一字ではない形容詞「危ない」だから
ですね。
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